今日の一本
· 2026-09-04 · 4:09Kai-Fu Lee が Bloomberg で語る、AI が届かない「二つの愛」
なぜ選んだか
Bloomberg の Mishal Husain が、AIをめぐる世界の競争についての44分の対話の最後に、Kai-Fu Lee に問いかける。AI が何でもこなすようになった時代に、人には何が残るのか。Google 中国、マイクロソフト・リサーチ・アジア、Sinovation Ventures で、実際に中国の消費者向け AI を組み立ててきた彼は、「人間は唯一無二だ」という励ましの答えは返さない。彼が挙げるのは、二つの具体的な愛。動画はこの場面から始まる、およそ四分間。
話の中の、いくつかの瞬間
ひとつめは、人と人の間の愛。誰かがその場に来てくれ、時間を使ってくれる、その「そこにいる」という感覚のこと。Kai-Fu Lee は、これから最も伸びる職種はまさにここだと予測する。訪問介護、家に来てくれる料理人、案内人でもあり友人でもあるようなガイド。理由は、AI が動作を真似できないからではない。彼自身の言葉で、「AI が模倣できたとしても、人はそれを求めない」から。
ふたつめは、あるアイデアへの愛。長年、誰にも理解されなくても人を支える、あの執念のこと。彼はいくつも例を挙げる。何十年もあざけられながら諦めなかった AI の研究者たち。iPhone を設計したときのスティーブ・ジョブズの手には、そのインターフェイスを支えるデータは一件もなかった。ココ・シャネルは、女性が窮屈な服を着なくていい世界を望んだ。イーロン・マスクは、再利用できるロケットにこだわった。彼らがそれをやったのは、「それが仕事だから」ではなく、それを愛したからだ。
Kai-Fu Lee はあり得る組み合わせをこう言う。実行は AI が担う。愛は人が担う。人を愛すること、そしてまだデータの中には存在しないアイデアを愛すること。彼はその組み合わせは可能だと信じている。ただし、私たちが本当にそこへ歩み入るかについては、正直、そこまで自信はないと打ち明けている。
見終わってから考えること
この二つの愛のうち、いまあなたの日常から押し出されているのはどちらだろう。もし明日、AI があなたの仕事の「実行」の半分を引き受けたら、その空いた時間を、あなたはどちらの愛に返すだろう。それとも、どちらにも返さないだろうか。