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一人の英語教師はChatGPTを禁じなかった、正反対のことをして、勝った

2026年8月27日

「AIを禁じる」か「降参する」か、その二択に落ちる必要はない。ゲイツは2023年に第三の道を書いていて、しかも実際にそれを歩いていた先生の名前まで挙げている。

これは、ビル・ゲイツが2023年に書いた「AIのリスクは現実だが管理できる」(Gates Notes) についての、私たちの読み解きだ。原文 (英語) は こちらから →

この二年間、あなたは職員室でこの会話を何度も経験してきたはずだ。

半分の同僚は言う。禁止しないと、この子たちは一生まともに書けなくなる。もう半分は言う。禁止できない、時代の流れだ、早めに使えるようにしてやるべきだ。誰も誰を説得できず、みんな元の場所に戻り、同じ課題を採点し、頭を抱え続ける。

2023年7月、ゲイツはこの論考の中で第三の道を差し出していた。理論ではない、実在のひとりの先生の名前とともに、だ。

その先生の名は Cherie Shields。

2023年1月、彼女は『Education Week』に、自分の英語クラスでChatGPTをどう使ったかを書いた。禁じもせず、存在しないふりもせず、彼女は授業をまるごとこの道具を軸に組み直した。

ゲイツは彼女の言葉を引く。「教師はAI技術を、生徒が使えるまた一つの道具として受け入れなければならない。かつて私たちが生徒に、まともなGoogle検索の仕方を教えたのと同じように、いまはChatGPTが小論文作成をどう助けるかを軸にした、はっきりした授業を設計するべきだ。AIの存在を認め、生徒とともにその使い方を学ぶことは、教え方そのものを一新できるかもしれない。」

彼女は具体的に何をしたか。二つ、盗む価値のあることを。

ひとつ。AIを砥石として扱う、代筆屋としてではなく。

彼女の課題は「800語の議論文を書きなさい」から、四つの段階を持つ課題に変わった。

第一段階、ChatGPTに800語の草稿を書かせる。そのときに使ったプロンプトを一緒に提出させる。「どう注文したか」自体が、ひとつの技能だからだ。

第二段階、その草稿を声に出して読み、「自分が絶対に言わなさそうな言い回し」を三か所マークさせる。なぜそうなのかを短く書かせる。

第三段階、その三か所を、自分の言葉で書き直させる。

第四段階、AIの初稿、自分の最終稿、そして「AIから何を学んで、何を切って、なぜ切ったか」の200語の振り返り、この三つをそろえて提出させる。

採点は第二、第三、第四段階に重点を置く。第一段階は原材料に過ぎない。結果、彼女の生徒たちが学んだのは「書く量が減る」ことではなく、「もっとうまく書く」ことだった。なぜなら、毎回の課題で「見分ける、批判する、書き直す」の三つを練習させられていたからだ。この三つこそ、AIが君に代わって育ててはくれないものだ。

もうひとつ。AIの最大の弱点を、あなたの最良の教材に変える。

同じ論考でゲイツはこう書く。「教育者はAIに記事を書かせ、そのうえで生徒とともに事実確認をしていくことができる。」

この一文は金だ。AIのいちばん厄介な問題、幻覚、偏見、でっち上げの引用、を、そのまま一コマの授業に変えてしまう。

こんな課題ができる。AIに、ある歴史的事件について、ある科学的話題について、ある人物について、短い文を書かせる。どの教科でも成立する。そして生徒たちに、その中の具体的な数字、固有名、日付、「研究によれば」といった表現を全部拾い出させ、ひとつひとつ確かめさせる。正しい部分を「正しい」と確認しても加点しない、間違いを見つけたら、大きく加点する。

これを数回やると、あなたの生徒は、一、AIの出力を頭を通さず貼り付けることを二度としなくなる。二、AI時代に本当に希少な力、事実確認、を学ぶ。三、そもそも「信頼できる」とはどういうことかについて、体の記憶ができる。

ゲイツはもうひとつ、次の職員会議で話す価値のある、少し古い歴史も持ち出している。

「これは、1970年代から80年代に電子計算機が普及したときのことを思い出させる。基礎的な算術を子どもたちが学ばなくなるのではないかと心配した先生もいれば、この新しい技術を受け入れて、算術の背後にある思考力に焦点を移した先生もいた。」

あなたにも記憶があるか、あるいは年上の同僚から聞いたことがあるはずだ。計算機と最初に組んだ先生と、最後まで拒否した先生では、教え子たちの世代がまるまるひとつぶんずれた。ChatGPTを前にしたいまのあなたの選択は、形も規模も、同じだ。

最後にひとつ、あなた自身に。

Cherie Shieldsはテクノロジーの専門家だからそうしたのではない。彼女はこう決めた。学校が方針を出してくるのを待つより、まず自分で試すことにしよう、と。そしてそれを書きとめて、他の人にも見えるようにした。

あなたも、学校からの通達を待たなくていい。次の課題のうちの一コマだけを使って、「AIに草稿、生徒に解体」というやり方を、一度試すことができる。うまくいかなくてもいい。生徒に、あなたが試していると告げてほしい。なぜ試しているのかも。 生徒と一緒に学び続ける教師は、AIが存在しないふりをする教師よりも、はるかに強い。

### 立ち止まって考えたい問い

一、あなたが最後に採点していて、途中で「これはAIが書いたな」と気づいたとき、最初に湧いた感情はどんなものだった? その感情は、あなたがその生徒に対して、どんな先生でありたいかという理想と、噛み合っているか。

二、あなたの担当科目で、いま「情報の信頼性」、つまり出典、引用、事実確認、はどう教えられているだろう? もしAI時代の前からすでに弱いところだったのなら、いまが中心に持ち上げるチャンスだ。どの課題から始めるか。

三、あなたの学校には現在、AIについての明文化された方針があるか。ないとして、あなたが待たないと決めたなら、来週の何時間目に、生徒と一緒に最初の公開実験を始めるか。

出典: Bill Gates

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